「フィトセラピー」と聞くと、ハーブティーやアロマなど、心と体を癒す自然療法を思い浮かべる人が多いでしょう。
「フィトアストロジー」は自然療法と占星術を掛け合わせた造語ですが、実は昔からある知識なのです。
しかし「占星術と自然療法?」と、少し不思議に感じるかもしれません。
なぜ植物と星が結びつくのか
古代の人々は、自然と宇宙のリズムを重ね合わせながら、植物の力を生活や儀式に取り入れてきました。
こうした考え方は長い時代を超えて受け継がれ、やがて「フィトセラピー」や「アロマセラピー」と呼ばれる知恵体系の源流となっていきます。
このブログでは、占星術の視点を活かしてフィトセラピーをより身近にすることをテーマに、古代から続く「星と植物の知恵」を現代の暮らしに活かす方法を紹介していきます。
今回はその第一歩として、フィトセラピーの歴史をたどり、魔女狩りの時代に封じられた自然の叡智と、星々との深いつながりを読み解いていきましょう。
フィトセラピーの起源 ─ メソポタミアから始まる人と植物の関係
人間と植物との深いつながりは、古代メソポタミア文明にまでさかのぼるといわれています。
当時の粘土板には、植物を薬や儀式用に活用していた記録が残されています。
ミルラ(没薬)やタイム、シナモンなどが治癒や宗教的用途に使われ、人々はこれらを「神々の贈り物」として敬っていました。
植物は、大地に根を張り、天の光を受ける存在として、自然と宇宙の調和の象徴とされていました。
この思想は古代エジプト、ギリシャ、ローマへと伝わり、ヒポクラテスは「自然は最良の医者である」と語ったと伝えられています。
フィトセラピーの根底には、自然への信頼と宇宙への感受性がすでに息づいていたのです。
中世ヨーロッパのフィトセラピー :修道院と民間療法の交差
中世ヨーロッパでは、修道院が知識と医療の中心でした。
修道士や修道女たちは薬草園を整え、植物の力を神の恵みとして研究しました。
なかでもヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、「自然は人を癒すために創られた」と説き、
身体・心・魂の調和を重んじました。
一方で、庶民の間にも植物の知恵は息づいていました。
村のヒーラーたち、特に女性たちはハーブを用いて出産や傷の手当を行うなど、地域の暮らしを支えていました。
彼女たちは自然のリズムや月の満ち欠けを観察しながら、人と植物の関係を大切にしていたのです。
このようにフィトセラピーは宗教的医療と民間伝承の両面から発展していきました。
魔女狩りとフィトセラピー : 封じられた「女性の知恵」
15世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパで拡大した魔女狩りの時代。
その中には、薬草を扱う女性たちも迫害の対象となったといわれています。
彼女たちは、自然の恵みを活かして人々を支えてきた存在でしたが、
その知識がしばしば宗教や権力にとって脅威とみなされました。
やがて、ハーブの知恵は「魔術」と結びつけられ、多くの女性ヒーラーが不当な扱いを受けました。
この時代に、植物や星の知恵は表舞台から姿を消していきますが、人々の心の中で静かに受け継がれていきました。
カルペパーの思想 ─ 星と植物を結び直した自然哲学者
17世紀のイギリスに登場した自然哲学者・ニコラス・カルペパー。
彼は医師であり、占星術師でもありました。
当時ラテン語で書かれていた専門的な医学書を英語に翻訳し、一般の人々に開かれた形で知識を共有しました。
代表作『The Complete Herbal(全草本)』では、植物を占星術的に分類し、人間との関係を体系的にまとめています。
カルペパーは、「植物も星も神の創造物であり、同じ法則のもとに存在する」と考えました。
太陽の支配する植物は活力を与え、月に関わる植物は心を静めるなど、
星と植物の象徴的関係を示したのです。
彼の思想は、科学と信仰の狭間で植物を再び宇宙とつなげようとする試みであり、
現代のフィトセラピーと占星術の融合にも影響を与えています。
現代に生きるフィトセラピー : 失われた知恵の再発見
21世紀のいま、私たちは再び自然と調和する生き方に関心を寄せています。
フィトセラピーなど自然療法は日々の心と体を整えるだけでなく、自分自身や自然とのつながりを見つめ直すための知恵として注目されています。
占星術の視点を取り入れたフィトセラピーでは、自分の星座や天体の象徴に基づいてハーブを選ぶという考え方もあります。
たとえば、火のエレメントには温める作用を持つハーブ、
水のエレメントには鎮めるハーブを合わせるなど、
星の象徴と植物の特性を調和させていくアプローチです。
カルペパーが伝えたように、「自然は誰にでも開かれている」
その視点を持てば、フィトセラピーは難しい理論ではなく、暮らしの中に息づく“星と植物の対話”として感じられるでしょう。
フィトセラピーの歴史は、人間が自然と宇宙のリズムに調和して生きようとした歩みそのものです。
メソポタミアの神官、修道女、ヒーラー、カルペパー
彼らが紡いできた知恵は、今も私たちの暮らしに静かに息づいています。
🌙 まとめ
フィトセラピーの歴史を振り返ると、人と植物、そして星のつながりが古代から続いてきたことが見えてきます。
その知恵は、科学や宗教、時代を超えて受け継がれ、
今日、私たちが自然と向き合う際のヒントを与えてくれます。
植物は、私たちに「本来のリズムで生きること」を思い出させてくれる存在です。
もしハーブや星に惹かれるなら、それは自然と深くつながりたいという心の声かもしれません。
次回は、フィトセラピーと占星術がどのように結びついているのか
星座とハーブの具体的な関係をたどっていきましょう。


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